なんだかダラしなくみえる・・・2
こんにちは!札幌市西区発寒にある放課後等デイサービス みかづき発寒 理学療法士の吉田です!
以前の投稿で、発達障がいのお子さんの中には、ダラっとしていたり、くにゃくにゃしていたり、何もない所でつまづいたりと他からみるとだらしなく見えてしまうことや運動音痴に見えてしまうのはその子自身がやりたくてやっているのではなく、脳の信号の問題によるものであることはお話させてもらいました。
今日はなぜそうなるのか、どういった関りを持っていくことがいいのかを具体的に話していこうと思います。
すぐに思いつくのは、まっすぐ座っていられない・運動音痴なら「筋力トレーニング・運動すればいいんじゃない?」と思ってしまいがちです。間違いではありませんが、筋力トレーニングも様々な種類がありトレーニング方法によって目的が違ってきます。また、筋力が問題ではないこともあり、お子さんにいきなり「30分走っておいで!」と言って走ってくるのはなかなか難しいですし、本人がやりたくないような筋力トレーニングや運動を無理にやらせるのも嫌な記憶としてのインプットとなってしまい、体を動かす場面から余計に遠ざかってしまうきっかけにもなりかねません。
様々な原因がありますが、現場で多い2つの原因についてと具体的な支援の方法についてお話していきます。
まず1つ目は脳の信号である神経伝達物質による原因について説明していきます。
発達障がいのお子さんは脳の神経伝達物質であるドーパミン・ノルアドレナリン・セロトニンが不足・活動しにくいということが研究でわかっています。
それらの神経伝達物質は脳の覚醒状態に大きく関わってくる物質で、減少すると脳の覚醒が低下し、体に力を入れたくても入れられない、ずっとぼんやりして眠たいような状態となります。私たちも学校の授業中に眠くなったら片肘をついて背中を丸くして先生の話を聞いていた記憶があると思います。
発達障がいのお子さんは脳の伝達物質が少ないので頭が働かず、覚醒が上がりくいので、そのような姿勢になりやすいということが言えます。
たとえていうと、眠たいぼんやりしている状態で、座って授業を受けたり、運動して100m走をしなければならないわけで、まっすぐ座れないし、つまづいて転んでしまうのは当然です。
では、具体的にどうするの?という話をしていきます。
ドーパミン・ノルアドレナリンは運動の場面でよく使われる物質となります。なので、軽めの体操をしたり、レクリエーション・小集団活動・ドッチボールなどを取り入れたあとに座った活動に取り組んでもらう、という支援者側の取り組み方が具体的な方法としてあげられます。当事業所でも体を動かしたり、小集団の活動を取り入れてからパソコンの活動を行うような工夫を取り入れています。そして座っていられないことを注意するのではなく、何分かでも座っていられたことを賞賛することに重きをおいています。定型発達のお子さんと比べるのではなく、その子自身が現在どれくらい座る力・運動する力があってどれくらいできたことがすごいことなのかをしっかりと把握していくことが必要です。そのお子さんが運動への苦手意識を植え付けるような内容ではなく、成功体験を積み重ねて体を動かすことから遠ざかってしまわないように取り組むことが重要となってきます。
また、現在はお薬での症状の改善も見られやすくなってきているため、一度専門の先生にみてもらうことも一つの選択肢としていいかと思います。
2つ目は体の発達の遅れによる感覚が不十分になることでの姿勢の悪さや運動の不器用さです。
ここで感覚統合という療育の場面でよく聞く言葉が関係してきます。
人の感覚は段階をへて発達していきます。
視覚・聴覚・味覚・嗅覚・触覚、いわゆる〝五感″と言われるもの、前庭覚と呼ばれる体のバランスをとる平衡感覚、固有覚と呼ばれる体の動きを筋肉の張りや長さを覚えておき、どれくらい動かしたかを覚えておく感覚がまず初めに発達し、その後応用的な動作を行えるようになってきます。この基本的な感覚が発達してくると自分の思い描いた通りに体が動かせるようになってくるため、目でおおよそのボールの位置を把握して蹴ったり、走っている時に正確かつ速く脚を動かせるようになります。
体の発達の遅れがある場合、これらの感覚を感じ取る機能が普通のお子さんよりも遅れているので、感覚が不足し、体を動かす脳の信号がうまく働きません。日常生活の場面では、体が感覚刺激を欲するようになり、高い所からジャンプしてみたり、椅子をガタガタさせてみたり、靴下を脱ぎたがったりというような行動がみられたりします。
こういったお子さんの場合にはある程度長期的な目線で経過を観察していく必要があります。感覚刺激の入力自体は難しいことではなく、普段行っている、走ったりドッチボールをしたり公園の遊具などの遊びの中で十分入ってきますが、感覚統合の場面でよく使用されているのがトランポリンやボールプール、スイングなど自分で行う遊びより大きな刺激が入ってくる遊具になってきます。また、1週間に1回、1時間以上で行い、最低6か月以上行うことが推奨されていますが、私たち大人でも1週間に1回、1時間以上の運動を行うには強い意志とやる気が必要です。
ここで重要になってくるのが、そのお子さんが楽しんで活動に参加できるかどうかです。楽しくない活動をいくらやらせてもその子にとっては苦痛でしかありません。そのお子さんは何が好きで何に興味があるのかをみて、続けられそうな活動を行っていくことが重要です。公園で遊ぶのが好きなのであれば、1週間に1回一緒に公園のアスレチックで遊ぶ時間を作る、サッカーが好きなのであれば少年団に入ったりパス回しを一緒に練習する、などのご家庭での協力が必要となってきます。事業所での楽しみをもった活動への模索はもちろん行いますが、時間や行える内容には限りがあります。そういった情報を共有し、ご家庭でも行えるような活動や運動内容をこちらからも提示したり、逆に教えてもらうことで活動内容に取り入れられることがあるかもしれません。
今日は駆け足で大まかな内容について説明させてもらいました。実際にお子さんをみてみないとわからない部分が多くあり、今の説明では全く当てはまらないお子さんもたくさんいるかと思います。現場でも多くの場合、当てはまらないことや複合的に重なっていて一概にこの説明だけでは・・・ということも多くあります。みかづき発寒では一つ一つの悩みを一緒に考えていけたらと思っています。
わからない・知りたいことがあればぜひみかづき発寒までお気軽にご連絡ください!
投稿日:2023年01月18日(水)