"知っておく"ということ
先日、私の母が怪我での長期入院を余儀なくされました。
我が家の中心は母だったため、家にいた家族は大混乱。
どこに何があるのか、どうしたらいいのかがさっぱりわからず、通帳1つ探し出すにも素晴らしい時間と労力を必要とすることとなりました。
他にも台所の物や冷蔵庫の中身など普段は母しか触らないであろう物は、まだストックがあるにも関わらずまた買われ、砂糖にいたってはさらに一袋追加されていました。
糖尿のけがある父は自分を砂糖漬けにすることを決めたようです。
0から知る・学ぶのと、知っていてやっていないのとは全く違うものだと改めて痛感させられる出来事となりました。
お子さんの成長に関しても同じことが言えるのではないでしょうか。
お風呂掃除や料理のやり方、お金の使い方などさまざまなものを、全く知らない状態でできないのか、知っていてやらないのかは大きな違いがあります。
「ちょっとお風呂のお湯を見てきてくれない?」とお子さんに頼んだとしましょう。
曖昧なニュアンスを捉えることが苦手なお子さんの場合は、本当にお湯だけ見てきます。
そこにお湯の量や温度を確認しなければならないという考えがありません。
そう言ったことを一から丁寧に教えて学ばせていく必要がありますが、関心のないものには全く興味を示さない、言っても聞かない・やらないお子さんも多いです。
それは、それをした先の自分のメリットが明確ではなく動機がないからです。
そして、教える方にも時間と労力がいりますし、自分がやった方が早いからとついつい代わりにやってしまいがちです。
そんな時に使えるのが報酬による動機づけで、動機づけには3種類あります。
①物による動機づけ
なにかをした先に物がもらえるという動機づけです。それはお菓子でもお金でもゲームができる時間でもなんでもいいです。
その子がその動機のためなら頑張れるものを報酬として与えます。
②賞賛による動機づけ
行った事に対して、褒めてあげる・認めてあげることでの動機づけです。これは賞賛する側の褒める・認めるスキルが必要となります。
③内発的動機づけ
自分がどうやったら頑張れるのかを探し出す動機づけです。「1週間頑張ったらご褒美に焼肉に行く!」や「筋トレをしてスタイル抜群になったらかっこよく見えるから頑張ろう!」など自分で動けるものを探し出し、それを頑張った先に自分のための報酬があります。
動機があれば人は動くことができます。ご家庭で行うのにおすすめなのは、①の物による動機づけです。報酬を与える側にスキルが必要なく、考えるのも楽です。
②③ももちろん有効ですが、②は先ほども説明したように、賞賛する側の人のスキルが必要です。相手の良かったところ、認めるところを常に考えていなければならないので、気が抜けません。
③はある程度自我が確立し、自分自身と向き合う必要があるためお子さんに行うには難易度が高いものになります。
報酬による動機づけでよく心配されるのが、その報酬がなくなった時にやらなくなるのでは…ということでしょう。
まずは報酬がもらえる状態でもいいので、やり方を知っておき、必要に迫られた時にできるということがとても大事です。
やり方さえ知っていれば、成長して大人になった時に自分で報酬を何にするのか考えられればいいだけとなります。
知らないからできないのか、知っていてやらないのかは社会に出て自立していく時にとても大きな違いになるでしょう。
報酬への考えは各ご家庭でさまざまな考え方があると思います。
ぜひ、お子さんもそれを支えるご家族も過ごしやすくなれるような方法を模索してみてください。
投稿日:2023年02月20日(月)